「私の…名前は……」
ちゃんね。私はシオン・ウヅキ。よろしくね。こっちがKOS−MOS」
「モモって言います。よろしくお願いします」
「ジギーだ。よろしく頼む」

あの後、はケイオスに案内され航宙貨客船エルザにやって来た。
そこには二十代前半の女性、シオンと女性型戦闘用アンドロイドのKOS−MOS。
百式汎観測レアリエンのプロトタイプのモモ。そしてサイボーグのジギーがを待っていた。

「…Jr.は…?」

辺りを見渡して見るがJr.の姿が確認できなかった。

「そう言えば私達にちゃんのこと言ってすぐにどこか行ったわよね」
「シオン、必要があるのなら検索を掛けますが」
「…いい…どこにいるか…わかる気がするから…」

はエルザから出て行く。

「何だか…記憶がないとは言え…少し不思議な感じよね」
「少し虚ろな雰囲気だったな」
「でも悪い人ではないと思います」
「特に敵意は持っていないようですので警戒する必要はないかと思われますが」
「僕もそれは思うよ。すごくいい子だから。皆もすぐに仲良くなれるよ。Jr.も…すぐに…」






時の狭間 02







は広いデュランダルの中を迷うことなくすぐに目的の場所に着いた。

「ここに…Jr.がいる気がする…」

がやって来た場所はパークエリア。
エレベーターで上がり中に入るとそこには椅子に座りボーっとしているJr.が居た。

「…!」
Jr.を見つけ声を掛けようとした瞬間は不思議な感覚に襲われる。

「…何…?」
『殺せ…』
「殺す…?誰を…」
『殺せ…U.R.T.V.を…殺せ…』
「…U.R.T.V.…」

は少しずつJr.に近づく。

『…殺せ…』
「…………」
『殺せ…』
「…………」

はJr.の背後に立ちソッとJr.の首筋に手を伸ばす。

「どうして…」
「…?」

の声に気付きJr.が振り向いた瞬間、

「グッ!!」

はJr.の首筋に触れた手で首を絞める。
その手に徐々に力が加わっていく。

「グッ…うぁっ…!…?」
「どうして…」

の目は虚ろだった。
更に力が強く加わっていく。

「ぐぁっ!あ…!うぅ…!ぁ!

はゆっくりとJr.の身体を持ち上げる。
Jr.はの腕を掴むが段々と力が入らなくなっていく。

「どうして…サクラは居ないのに…お前達は生きているの…?」
「っ!?」
「お前達が…居なければ…」
…っ…!!ぐぅぁ!!」
「Jr.!!」
「Jr.君!!」
「Jr.さん!!」

シオン達が慌ててとJr.の元へ駆けつける。
はJr.の首を絞めていた手を離しJr.は地べたに落とされる。

「っ!ゲホゲホ!!」

Jr.は地べたに座り込みながら首筋を押さえる。

「Jr.さん!大丈夫ですか?!」
「ハァハァ…!あぁ…何とかな…もう少しで危なかったぜ…!」
「…………」

KOS−MOSは虚ろな状態のの手を掴む。

「…!」
。これ以上の抵抗は貴方に危害を加えることになります。おとなしくしていて下さい」
「……ジュ…ニ……ア…」
「ゲホッ…どうしたんだよ、

まだ少し虚ろなにいつも通りの笑顔を見せるJr.。

「……!」
「KOS−MOS。もう手離してやれ」
「現状からすれば再びがJr.に危害を加える可能性は残っていますが」
「大丈夫だ。もうはそんなことしねーよ」
「―――了解しました」

そう言ってKOS−MOSはの手を離すとはその場に座り込む。



Jr.はにソッと手を差し出す。

「…私…!Jr.に…っ!」
「気にすることねーよ。お前の本心じゃないってわかってるから。とりあえずエルザに帰ろうぜ」
「…Jr.…」

は差し出されたJr.の手を掴む。

「ごめん…」
「謝るなって」
「うん…」

Jr.に掴まったその手は微かに震えていた。

「じゃ、戻ろうか。船長たちも待ってるからのこと紹介しないと」
「そうね、少し変わってるけど悪い人じゃないから安心してね。ちゃん」
「…うん…」
さん、また今度一緒にファウンデーションに行きましょうね」
「いいの…?また私…さっきみたいになるかもしれないのに…」
「ハイ!モモはさんがそんなことをさんの意思でやったんじゃないって信じてますから」

ニッコリとほほ笑むモモを見ては懐かしさを感じる。

「……うん…楽しみ…」
「そんじゃ、今度ビーチにも連れてってやるよ」
「ビーチ…?あるの?」
「人工ビーチだとは思えないくらいすごいわよ」
「そうなんだ…楽しみ…」

少しだけほほ笑むを見てJr.はホッとする。

(サクラか…やっぱり…は俺達…U.R.T.V.のこと…いや、あんま考えこまねー方がいいか…)



少女の伸ばされた手は少年の首筋へと伸ばされていった。
その手は少女の思いとは裏腹に少年を苦しめていった。