目を覚ますとそこは私の知らない場所。
ベットの上で私は眠っていたみたい…
だけど…
だけど、どうして、何も思い出せないの…?






時の狭間 01







「…ん…ここ…どこ…?」

目が覚め辺りを見渡してみるとそこはベットの上でどこかの部屋だと言う事しかわからなかった。

「…………」

何も思い出せずボーっとしていたら赤髪の少年が部屋に入ってきた。

「目覚めたか」
「…貴方…誰…?」
「俺のこと、わからねーのか…!?」
「知らない…何も…わからない…」
「何も…覚えてねーのか?」
「…………」

静かに頷いた。
すると少年は少し安心した顔をした。

「…そっか…その方が…いいのかもしれねーな…あ、俺はガイナンJr.。名前も覚えてないのか?」
「…名前…?……そんな気がする…」
「そっか。いい名前だな」
「いい…名前…?」
「あぁ。俺は好きだな。その名前…」

そう言ってほほ笑んだJr.を見ては少し不思議な気持ちになった。
どこか懐かしいとそう感じたからだ。

「ねぇ…ここは…どこなの…?」
「あぁ、ここか。ここはデュランダルの居住エリア。お前がファウンデーションの街中で倒れてたからここまで運んできたんだ」
「倒れてた…私が…?」
「覚えてねーから仕方ないか。まぁ、たまたま俺達が通りかかったからよかったものの…」
「貴方が…助けてくれたの…?」
「俺一人じゃねーけどな」

ソッとはJr.の手に触れた。

?」
「……ありがとう…私を…助けてくれて…」
「……俺は…一度も…お前を…助けれたことなんて…!」
「一度も…?」
「っ!!」

Jr.は無意識に思ってたことを口にしてしまった。
慌てて口を押さえた。


「私のこと…知ってるの…?」
「…俺は…!」
「彼女、気がついたみたいだね」
「っ!?け、ケイオス!?」
突然、話しかけられてJr.は驚きが隠せなかった。
慌てて後ろを振り向くと銀髪の優しそうな少年がJr.の後ろに立っていた。

「お、お前!!いつの間に!」 「少し前からいたんだけどJr.全然気がつかなかったし真剣な顔してたから邪魔しちゃ悪いかなって思って」
「い、居たんなら話しかけろよな!!!びっくりさせやがって…」
「ゴメンね。そんなに驚くとは思わなかったんだよ」

ニコニコとほほ笑みながらケイオスと呼ばれた少年はに視線を向ける。

「僕はケイオス。君は?」
「……」
だね。さっきは倒れてたけど…どこか怪我とかしてない?」
「怪我とか…別にしてない…」
「そっか。よかった。何かあったらすぐに言ってね」
「うん…」

Jr.は部屋に入ってきたのがケイオスだけか辺りを見て確認する。

「シオン達はどうしたんだ?」
「シオン達なら今、エルザにいるよ」
「そっか。、お前は…これからどうするんだ?」
「私…?私は…」

『あの場所で…キミを待ってる…ミルチアで…ずっと…』

「…!」

の脳裏に誰かの声が聞こえ二人の声かと思ったが二人の声とは明らかに違った。
あの声は少女の声だったからだ。

「どうした?」
「私…ミルチアに…行きたい…」
「ミルチア?!」
「ミルチアって第二ミルチア?」
「…うん…何だか…行かないと…いけない…そんな気がする…」

Jr.とケイオスは顔を見合わせる。

「あのさ…、俺達と一緒に来るか?」
「え…?」

いきなり一緒に来るかと言われ流石のも驚く。

「僕達も第二ミルチアに行くんだけどよかったら一緒にって思ったんだけど」
「まぁ、あんまり安全だとは言えねーけどな。いつグノーシスとかと闘うかわかんねーし…」
「それでもいい!私…一緒に行きたい!ミルチアに…一緒に行きたい!」

が初めて大きな声を出しJr.とケイオスは少し驚いた。

がそこまで言うなら僕達が頑張って守ってあげないとね」
「そうだな。安全な旅って言えねーし」
「それじゃあ…」
「うん。記憶の手がかりがあるといいね」
「きっとあるって!だから頑張ろうぜ!!」
「…うん!」

初めては二人に笑顔を見せた。

「笑った顔初めて見せてくれたね」
「え?そうだった…?」
「うん。初めてだよ。可愛いよ。ね、Jr.」
「…………」
「Jr.?」
「ん、あぁ!ワリィ!ちょっととボーっとしちまって…」
「大丈夫…?」
「あ、あぁ…俺…シオン達に言って来る」
「Jr.…」

Jr.は後ろを振り向かずに部屋から出て行く。

「どうしたんだろう…」



バンッ!!!
廊下の壁を思いっきり強く叩く。

「何で…アイツが…記憶をなくしてて安心してんだよ…!」



少女と少年は出会い、そして旅立つ。
しかしその出会いは二人にとってとても残酷なものだった…