「イヤー最近は遅刻者もへってくれて嬉しい限りだわ〜」
「そりゃー…あんな物騒な罰ゲーム待ってたらな…」
「普通は誰だってやりたくないよね」
「え?でも普通でしょ。あれくらい」
「「…………」」






Love Paradise 01







三人は一般生徒は入ることが許されない校長室に普通に入る。

「失礼します。生徒会から報告です。本日の遅刻者は7名です。内、3人は逃亡しようとしていたのですが話し合いの結果、ちゃんとこれからは気をつけるとのことです」 「話し合い…な…あれが…」
「あれが…話し合い…それはそれですごいよね…」
「二人ともぶっ飛ばすよ」
「ご苦労です。それではこれからも頑張ってくださいね。さんのおかげで規律を乱す方も減ってとても嬉しいです」

彼がこのアロランディア学園の校長である左右違う瞳の色をした少年、プルート。
14歳にしてこのアロランディア学園の校長を勤める。

「プルート様、こいつの行動見たらそんなこと言えねーと思いますけど」
「え?私は普通にさんはみなさんにわかりやすく同じ過ちを繰り返さないように説明していると聞いていますが…」
「あ、アハハ…確かに…誰も同じ過ちは繰り返せないと思うな…」

そして彼らが生徒会。
会計の紫の髪に緑の瞳、ブレザーのボタンは全開でカッターシャツのボタンも数個開けてネクタイもつけていない少年、アーク。
茶色い髪にキッチリとブレザーのボタンもカッターシャツのボタンも全部閉めてネクタイも綺麗につけている少年が副会長のリュート。
そして可愛い顔をして喋れば精神崩壊をさせるほどの毒舌、彼女の行動一つで何かが絶対に破壊される。
学園の中で誰一人彼女に逆らうことの出来ない絶対権力を持つ少女が生徒会長の
はむかった者には死よりも恐ろしい罰ゲームと彼女に絶対服従を誓わなければならない。
普通は誰もが抵抗するが誰一人として彼女に勝てる者はいないため大人しく罰ゲームを受け彼女に絶対服従を誓う。
しかし生徒会長になれるくらいの実力は持っており学園の生徒からも先生からもかなりの信頼を受けている。
三人は幼馴染でクラスもずっと一緒で生徒会も一緒。

「それでは今日一日無理せずに頑張ってください。私は貴方達の活躍のおかげで本当に助かってます」

ニコッとほほ笑むプルート。

「プルート可愛い〜!!」

ガバッとプルートに抱きつく

「っ!?」

突然、抱きつかれプルートは驚きパニック状態。

「イヤー…本当、14歳で校長になっちゃうくらい頭が良くてその上…こんなに可愛いし…もう完璧だわ〜」
「あ、あの…!その!!」
様、プルート様がお困りです。離れて下さい」

黒髪の長髪、クールと言うより冷酷な雰囲気の美青年が校長室に入ってきた。

「あ、ソロイちゃん」
「その呼び方は止めてくださいと言ったはずですが」
「いいじゃん。だってソロイっていっつーも眉間にしわ寄せてるから少しでも可愛い印象を与える為にもね♪」
「私に可愛さを求められても困りますが」
「……確かに…あぁ〜何だかソロイの機嫌が悪くなると後が怖いし大人しく教室に戻りますよ。ごめんね、プルート。いきなり抱きついて」
「あ、いえ…大丈夫です」

プルートはそう言いつつも少し頬を赤くしていた。

「それじゃ、失礼しました。また放課後来ますので!」

軽くお辞儀をして校長室から出て行く。

「はーそろそろ教室行きますか〜」
「その前に学園内見回りだろ」
「え?あー見回りか〜うっわぁ…メンドッ…!」
「お前…それ生徒会長が言うセリフか?」
「イヤー生徒会長だからって全部任せんなよって話しじゃん。
もう一々、回るの面倒だからテメー等大人しくしてねーとぶっ飛ばすって放送流したほうが早くない?」
「それは流石にダメだよ。さん」

の物騒な発言に対する対応もリュートは慣れている。
長い付き合いになるからだろう。

「う〜わかったよ…行こう。毎朝行ってんだし…仕方ないって言うか他のメンバーどこ?」

生徒会は、アーク、リュート以外にもいる。
現在の生徒会の残りのメンバーは副会長がもう一人、書記が二人、そして顧問である先生が一人だ。
本来なら後、二人はメンバーにいなくてはならないが生徒会のメンバーは全員、が選んでいる。
彼女の気にいった者だけが生徒会に入れるという。
もちろん選ばれた者は全員実力者だ。

「皆、生徒会室で色々とすることがあるって言ってたから今日は僕達三人だけだよ」
「そうなの!?」
「会長のお前が何で知らないんだよ!?昨日、言ってただろ?!」
「…………」

昨日の事を思い出そうと考え出す

「……そうだったけ?」
「…リュート…こいつが本当に生徒会長でいいのか…?」
さんらしいと言えば…らしいんだけどね…まぁ、さんは学園中から信頼されてるからいいんじゃないのかな?」
「そー言うもんかよ…」
「アーク、あたしに絶対服従を誓った男が四の五の言ってんじゃないわよ」
「いつお前に服従した!!」
「ハッ!お前があたしと出会った時点でお前はあたしの下僕さ!」
「どこまでお前は偉そうなんだよ!!」
「当たり前でしょ!?実際に偉いんだから!!」
「どこがだよ!?」
「存在全てに決まってんでしょ!?生徒会長様々よ!!そんなこともわかんないの!?馬鹿だーこの子馬鹿だ〜!」
「ふざけやがって…!」

バンッ!!!!

「「っ!?」」

微妙ないい争いをしていたら突然、物騒な音が学園の廊下に響き渡る。
ずっと黙っていたリュートが壁を思いっきり殴ったからだ。
ニッコリと笑顔を浮かべる。

「二人とも、早く行かないと授業始まっちゃうよ」
「「……ハイ…」」

リュートはニッコリとほほ笑んでいるが目がまったく笑っていない。
そんな表情のリュートに恐怖を感じ二人は大人しく見回りに行くことにした。

「って言うかさ…この学園も平和よね〜あたし達が生徒会に入る前はすっごく荒れてたけど」
「確かに…だけど遅刻者も一桁になったし最近じゃ喧嘩も減った。僕達が高等部に入りたての頃と全然変わったよね」
「そうそう。校長がプルート様に教頭がソロイ様になって俺達が生徒会に入って急に変わったよな」
「最初は僕達一年なんかに生徒会が務まるのかって先輩達から酷い言われようだったけどね」
「それでのスイッチが入ってな。点数制度作ったんだよな。よくやるぜ」
「そうそう。進級する前にチェックが必ず入るんだよね。一年間でどれほどの点数を稼いだかで進級できるかどうか決めるようにしたからね」
「500点以下の奴は留年。250点以下は更に下の学年に。100点以下の奴は小学生。マイナスの奴は幼稚園からやり直しだもんな」
「いいじゃん。それのおかげで遅刻は減った。校則違反者なんてほとんどいなくなった。テストもみんな必死に頑張るようになったとかでさ」
「まぁ…点数の引き方が明らか恐ろしいからな…」
「う、うん…遅刻はマイナス20〜50点。校則違反は物によるけどマイナス100〜500点。テストで赤点一つごとにマイナス100点だからね」

アークとリュートは少し青ざめる。

「でもちゃんと最初っから800点はみんなあるじゃん」
「だけどマイナスが尋常じゃねーだろ。減った分を取り戻すにしても死ぬ気でやんねーと無理だし…」
「そうでもしないとこの馬鹿にされるし。まぁ、あたし達に生徒会が務まるかとか何とか馬鹿にしやがった罰って所かしら?」

は不敵な笑みを自信あり気に浮かべる。

「恐ろしい奴…」
「でも…実際に学園がよくなったのはさんの実力と努力だし。それはそれでよかったんじゃないかな?」

は高等部の全学年の点数チェックを毎日欠かさずしている。
もちろんアークもリュートも手伝うが二人も他の仕事が多く大抵は一人でやっている。
元々、学園の生徒数は少ないが全学年となると一人でチェックするのはかなり大変だ。
それに他の仕事も山ほどあると言うのに全てをこなせるのはやはり彼女の実力だろう。

「それはそうだけどよ…最近、出来た罰ゲームは酷過ぎだろ」
「何で?」
「何でってお前…どれもかなり学園生活をしていく上ではつらいだろ。今朝だってソロイ様に告白とか退学レベルだぞ」
「ん〜まぁ、二割は冗談だったんだけどね。今頃、罰ゲーム実行中じゃないかな?」

(八割は本気かよ!?)

アークは心の中で突っ込んだ。
直接、本人に言ったら後でどれほど恐ろしいことをされるかわからないからだ。

「確か今日の遅刻者が選んだ罰ゲームは屋上で…」
「屋上で同姓の親友に30分間愛の告白だったはず。イヤー青春ね〜」

満足気な笑顔で窓から空を見上げる。

「青春、なのか…?」
「ある意味…青春なんじゃないのかな…?実際にその罰ゲームでカップル出来たって噂もあるし」
「うわぁー…それスゲーな…ある意味…」
「さしずめあたしは恋のキューピットってとこかな?」
「どこがだよ…?」
「ごめん、さん…僕も思った…」
「二人とも…減点20点」
「理不尽だろ!それ!!」
「アーク…アンタの恥かし〜過去をバラされたくなかったら黙ってろ」
「っ!」
「リュートも文句ないよね」
「うん。20点くらいならすぐに取り戻せるから」

ニコッとほほ笑むリュート。

「よーしよし。じゃ、後で二人はマイナス20点って書いとくわ。どうせ二人ならすぐに取り戻せるじゃん」
「そうだけどよ…あーこれ以上は何も言わねーでおくよ。後が恐ろしいし」
「うっわ…アークが学習能力身に着けやがった…」
「お前…人を何だと思ってんだ…!?」

アークは握り拳を震わせていた。

「……下僕?」
「聞くな!!つーか!下僕じゃねーよ!!」
「じゃあ、ヘタレ!!」
「楽しそうに言うな!!!」
「ハァ…二人とも…飽きないね」

溜息をつきながら二人の口喧嘩を止めようともせずただ見守っているだけのリュートが一番の凄いかもしれない。
何だかんだ言って今日もアロ学は平和です。