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私の好きな人はとても変な人です。
「やぁ!ユウナ殿!」
『アッソビニキタヨー』
間違えました。
頭のおかしな人です。
恋のマジック
「帰れ」
「そ、そんなーそれはあまりにも酷いじゃないですか~せっかく今日はユウナ殿とデートの約束の日だからいつも以上に決めてきたのに…」
「…いつも以上にキモくして来た間違いじゃないの」
「キッ!?」
「はぁ…出かける時くらいその変な人形置いて来いって言ってんだろ」
「それは私と二人っきりになりたいと言うことですか?」
シリウスの言葉に顔が赤くなったことに自分でもわかった。
「ば、バカ!!そんなわけないわよ!!」
「随分と顔が赤いですよ。もしかして図星ですか?」
「うるさい!バカ!とっとと帰りなさいよ!大バカ!!」
「ユウナ殿…流石に三回もバカと言われては傷付きますよ…」
『カナシイー』
シリウスは変な人形(ボビー)を使って泣きまねをする。
「あーもう悪かったわよ!!で、どこに行くの?!」
「おや、帰れって言ってませんでしたか?」
「べ、別にいいわよ。もうあたしも出かける準備しちゃってるし…」
「そうですか。では、今日はあまり天気もよくないですし私の部屋に行きましょう。お渡ししたいものがあります」
そう言ってシリウスは優しくほほ笑んであたしの手を握って歩き出した。
シリウスの部屋に入ったらシリウスの仕えの者がお茶を出した。
「君たち、もう部屋から出ていいよ」
「わかりました」
そう言って仕えの者は出て行った。シリウスと二人っきりになるといつも緊張するからあまり出て行ってほしくなかった。
「ユウナ殿。お茶が入りましたよ」
「あ、ありがと…」
「随分と緊張されてますね。私の部屋は何度も来ているのに」
「べ、別に緊張なんかしてないわよ!」
「そうですか?何かあったら何でも言ってくださいね」
「う、うん…」
「それではユウナ殿。渡したい物があるので少し待っててください」
「わかった…」
そう言ってシリウスは立ち上がって何かを探し始めた。
あたしはただシリウスの姿をボーっと見詰めていた。
(どうしてこんなに好きになったんだろ…シリウスのこと…)
「お待たせしました。手を出してください」
「手?ハイ」
あたしは言われるがままに手を出した。
そしたらシリウスはあたしの薬指に指輪をはめた。
「…指輪…?」
「ハイ。プレゼントですよ」
「な、いいわよ!こんな高そうな指輪。もらう理由なんてないし…」
「ありますよ。私と結婚してほしい」
「は?」
流石にシリウスの言葉には驚きを隠せなかった。
あたしの聞き間違えに違いない…そう思った。
そうでなければシリウスのいつもの冗談だ。
「な、何言ってんのよ。そう言う冗談はやめて」
「冗談なんかありませんよ。私は本気です」
「え…?」
「どうですか?まぁ、すぐに結婚は無理でもお付き合いしてほしいですね。こんな中途半端な形ではなく正式に」
「そ、そんなこと…」
嬉しいのに言葉が出ない。
「あ、あたしだって…シリウスのこと…」
あたしは言葉に困ってシリウスの服の袖を掴んだ。
「ユウナ殿…」
シリウスはあたしの名前を呼んだあとに身体を抱き寄せ唇を重ねた。
「…!」
「好きです。ユウナ殿」
そう言ってまっすぐな目であたしを見詰めた。
「あ、あたしも…シリウスのこと…」
ヤバイ。耳まで赤くなってる…。
「出会った時から私はユウナ殿の恋のマジックにかかっていたのですね」
「シリウス…」
そう言ってシリウスはあたしを抱きしめた。
マジックをかけられたのはあたしも同じだよ。
「愛してますよ…ユウナ殿…」
「あたしも…好きだよ…シリウス…」
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