彼女はとても不思議な人で気がつけば目で彼女を追っている…







彼女はとても素敵な人







その人はいつも僕のところにやって来る。


「や、リュート。元気にしてるかい?」
「こんにちわ、さん。僕なら元気だよ。さんは?」
「私?私はもちろん元気だよ。リュートも元気で何よりだよ」
「今日はどうしたの?」
「もちろんリュートに会いに来たのさ」
「僕?僕に何か用?」
「用などないよ。ただ会いたくなってね」


彼女はさん。よくこうして僕のところに遊びに来てくれるんだけど少し変わってる。
まずは喋り方。あまり女性の喋る口調じゃないなって僕は思う。
あまり女性と会う機会が少ないからかな?
そして気がつくと目で追ってる…


「また、冗談を。アークに会いに来たんでしょ?」
「何故だい?」
「だってアークの部屋に昨日本を忘れて行ったでしょ。それ取りに来たのかなって思って」
「……あ!そんなことスッカリサッパリ忘れてた」
「え?」


僕はいつも彼女の発言に驚かされてばかり。

「そうかそうか!ないないと思ってたらアークの部屋に忘れてたのか〜」
「アークの部屋に忘れていったことに気がつかなかったの?!」
「うん。まったく」
「うんって…さん本当に何しに来たの?勉強とか大丈夫なの?」
「だから私はリュートに会いに来たのだよ。勉強?大丈夫さ!いざとなったら星の娘などならず騎士になるつもりだからね」
「だって今日は特に勉強一緒にしようとか約束してないのに?それに騎士になるつもりって?!」


彼女の発言に僕は混乱状態。
そしたら彼女は僕の手を握り森へ行こうと言い出した。





「う〜ん!風が気持ちいいね〜リュート」
「あ、うん。そうだけどどうして森に」


彼女に手を引っ張られるがままについて来たら僕とさんのお気に入りの場所に連れて来られた。


「たまには二人で話がしたくてね。最近は何だかんだ言ってアークと葵も交えての会話だったからね」
「でも僕と二人なんかじゃつまらないんじゃ…」
「何を言っているのだい!リュート!!確かにみなで話をするのもとっても楽しい!だけど私は君と二人で話す時はもっと楽しいのだよ!」


そんな風に言われたら少し期待しちゃうじゃないか。
もしかしたら彼女も僕のこと…


「ところでリュート。君は今、好きな人はいるのかい?」


僕の隣に座り彼女はさらりとすごいことを聞いてきた。


「へ?」
「何を面白い声をだしているのだい?そんなリュートも可愛いがね!
さん…可愛いは少しショックだけど…」
「おや、そうだったかい?それは悪かったね。それでどうなんだい?」
「え、えっと…」


率直に聞いてくる女性なんて彼女くらいなんじゃないかな…
中々、言えない…言葉にすることが出来ない…


「やはり答えづらいか…でも私はいるよ」
「うそ!?」


また僕は彼女の発言に驚かされてる。
でもこれは驚かずにはいれない。
だって彼女に好きな人がいるなんて…


「うそとは随分な驚いてるみたいだね。私だって恋する乙女さ」
「いや、さんは少し恋する乙女とはかけ離れてる気が…」
「ハハハ。リュート、人は誰しも恋をし変わっていくものだよ。


確かに私は恋する乙女とはかけ離れてるかもしれないが…好きな人の前では恋する乙女さ」


「じゃあ、その人のとこに行かなくていいの?」
「そうだね。だから私はここにいる」


彼女は真剣な目で僕を見つめた。


「リュート。私は君が好きだよ。たとえ君が私を好きでなくても私はずっと君が好きだよ。
でも無理に私の思いをぶつけるのは嫌だった。だからせめて伝えるだけでもと思ってここに来たのだよ」
「どうしよ…すごく嬉しいよ…さんが…そんな風に僕のことを思っててくれたなんて…だって僕も…」


君が好きだから…


「僕もさんが好きだから」


やっと言葉に出来た。
ずっと伝えたかった想いが言葉に…
そして彼女は少し驚いた顔をして優しくほほ笑んでくれた。


「そっか…そうだったのか…どうしよう…嬉しいよ…すごく嬉しい。夢のようだよ」


とても素敵な笑顔をしている彼女の頬そっとに触れる。


「ううん、これは夢じゃない。だってこうして僕とさんが触れ合えるのだから」
「リュート…」


そう…彼女はとても不思議な人。
そして僕の大切な人。
それと同時にとても素敵な人…