「今、なんて…?」


それは突然告げられた別れ。


「だから、他に好きな人が出来た。別れてくれ」
「……あっそ…いいわよ…アンタなんか地平線の彼方まで飛んでいきやがれ!!!!」


付き合っていた彼からの突然の別れ話。
涙が出るどころか私は怒りを覚えた。
そして怒りに任せて目の前に居る彼の顔面をグーで殴りました。
そして終わった私の恋…






恋の終わりと始まり







「あーもうムカツクー!!!!!」


イライラとしながら屋上のフェンスをギュ―ッと握り締める


「ったく、屋上にいきなり呼び出したと思えばお前の失恋話かよ」
「名前は可愛いくせに性格も顔も可愛くないお前に言われたくなーい!!」
「…聞いてくれてる相手に言うセリフか…テメー…!」


と言いつつもの失恋話を聞いてくれるのは幼馴染である黒崎一護。
ムスーッとした表情で一護は口を開いた


「大体、そんなにムカついたんなら一発くらい殴ればよかったじゃねーか」


その言葉を聞いた瞬間、は更に怒りをあらわにした。
ガシッとフェンスを更に強く握り締め一護の方を見た。


「殴ったわよ!まずは顔面に平手打ち!その後、ボディーブロー5発!
その後は回し蹴りでラストはアッパーしたわよ!でも殴った気にならないのーー!!!」
「十分殴ってんじゃねーか…」


一護は呆れた顔をしてにツッコミを入れた。
するとは握り拳をわなわなと震わせていた。


「これで十分殴ってる!?どーゆう神経してるのよ!!」
「お前に言われたかねーよ!!」


すぐさま一護は反論した。
この場合、どちらかと言うと変なのはだ。


「うるさいわね!!!イチゴちゃんのくせに!!!」
「イチゴちゃん言うなって何度言わせるんだよ!!」


名前が一護なだけに昔からはイチゴちゃんと言ってからかっていた。


「一生言い続けてやる!!イチゴちゃん!イチゴちゃん!イーチーゴーちゃん!!!」


わざと大きな声でイチゴちゃんと呼び続ける
一護はフルフルと握り拳を震わせていた。


「殴るぞ…!」
「暴力反対!」


ビシッと人差し指で一護をさす。


「だからお前が言える立場か!?て言うか人を指差すな!」


バッとの人差し指を下ろさせた。
するとはフェンスをバンバンと叩き始めた。


「うるさい!女の子に手を上げるとはサイテー!!」
「こんな時だけ女ぶるな!!」
「何よー!!さっきの男と同じこといいやがって!!」


ついにはフェンスを殴るだけではなく蹴り始めた。


は昔から物に当たる癖がある。
そんなの癖も知っている一護は冷静に質問した。


「は?お前そんなこと言われたのかよ」
「そうよ!他に好きな人が出来たってその後にね!あたしと違ってその子は女の子らしいって!」
「まぁ、大半の奴がお前を女だって言う奴は少ないだろーな」
「なんでよ!!見た目も性格も普通の女の子じゃないの!!」
「見た目以外は全部女には思わないな」
「そんなこと無いわよ!!」
「あるからふられたんだろ?」
「うっ!」


痛い所をつかれた。
今回フラれた原因がそれなだけに反論できなかった。


「で、その男が好きになった相手って誰か聞いたんだろ?」


なれた口調で一護はに尋ねた。
するとは眉間にしわを寄せ答えた。


「聞いたわよ!聞いたから尚更ムカつくの!!」
「誰だよ」
「…ルキア…」


ボソっと小さく呟いた。
意外な人物の名が出てきた為、一護は必死に笑いを堪えようとした。


「ブッ!!!」


しかし笑いを堪えきれずに一護は大爆笑し始める。


「な、なんで笑うのよ!!」
「ブッ!ハハハハハハ!!!やべー!!マジおかしい!!」


顔を真っ赤にしながらは何がそんなにおかしいのか尋ねた。
しかし一護は笑い続ける。


「だからなにがそんなにおかしいのよ!!」
「ルキアか!ハハハ!!確かにアイツは女っぽいかもな!学校じゃ特に!!」


一護はまだ爆笑してる。
流石にも我慢の限界だった。


「笑いすぎだっつーの!!」


ドゴッ!!!!
鈍い音が屋上に響き渡った。
何故ならが一護にボディーブローをきめたからだ。


「いっ!!!!」


そのまま一護はお腹を押さえたまま座り込む。
そしてお腹を押さえながらゲホゲホと咳き込む。


「笑いすぎに注意ね♪」


ニッコリと満面の笑みを浮かべる


「〜〜〜〜〜〜っ!!!!」


まだ痛むお腹を押さえながらを睨んだ。
何か言い返してやりたいがあまりの痛みに言葉が出ない。


「なんか一護殴ったらスッキリしたわ〜」
「ひ、人殴って…スッキリとは…いいご身分だな…!」


何とか立ち上がった一護は少しよろけていた。


「そんなに痛かった?手加減したのにな〜」


(手加減だぁ!?ドゴッていったんだぞ!あれで手加減したって本気はどうなるんだよ!!)


「はぁ…新しい恋したいな…」


何事もなかったかのように空を見上げる


「そんなんすぐ出来るだろ」


そしても何事も無かったかのように答えた。
もうこの辺は慣れだろう。


「じゃ、あたしの恋を運んできてよ」
「……居るだろ?お前を思ってくれてる奴が」
「どこ!?誰!?」
「目の前」
「……………」


一護の発言に一瞬固まったが居た。
キョトンとした表情で考え込んだ。


「へ?」
「なにアホヅラしてんだよ。ほら帰るぞ」
「え!?ちょ、待ってよ!!」


あたしの恋は実は目の前にあったのでした。




*オマケ*


それから一ヶ月。


「ねぇ!一護!明日、一緒に出かけよ♪」
「いきなりなんだよ」
「ん〜出かけたいから」
「それだったら他の奴でも誘えよ」


面倒くさそうな表情での誘いを断ろうとする一護。
しかしは引き下がらなかった。


「ヤダ!一護と出かけたいから一護誘ってんの!」
「なんで」
「だってあたしが一護のこと…好きになっちゃったから…」
「俺は他に好きな奴ができた」
「えぇ!?」
「冗談だって。今もお前が好きだぜ」
「…一護!」


そう…ずっと気づかなかった。本当の恋は今から始まろうとしているのでした…