「んー風が気持ち〜」
「何やってんだ?こんなとこで」






寄り添う二人







「アーク。どうしたの?こんなとこで」
「それ俺が聞いたんだよ。まぁ、別にいいけどよ。サボリだよ。サボリ」
「また仕事サボってんの?リュートの苦労が手にとって見えるわ」
「別にいいだろ。今日はリュートもサボリだしよ」
「え?リュートも?!珍しい…なんの仕事だったの?」
「ぜってー言わねー」 「なんで?」
「絶対だ!たぶん今日はほとんどの奴が逃げただろうな」
「なんの仕事なのさ〜」
「言わーよ。お前こそなにやってんだよ」
「んー海が見たくて歩いててちょうど風が気持ちよくて絶景な場所だったからボーっとしながらここに座ってたの」
「暇人だな。お前」


そう言いながらアークもの隣に座る。


「暇人って失礼な。ちょっと考え事してたの」
「考え事〜?お前が悩み事ねー」
「怒るよ…あたしだって悩み事の一つや二つあるわよ」
「なんだよ。話してみたら?俺でよかったら。少しは楽になるだろ」
「うん…最近、あんまり好きな人と進展ないなって思って」
「は?お前…好きな奴いるのか?」
「何そのいたらおかしいみたいな言い方」
「いや、別にそーいうわけじゃねーけど。誰なんだよ」
「ば、バカ!言うわけないでしょ!!」


は顔を真っ赤にしながらアークの背中をバシバシと叩く。


「いてて!バシバシ叩くのはやめろって!」
「だってアークが変なこと言うから!」
「別に変なことじゃねーだろ。協力してやるよ…」
「え?」
「そいつに遠まわしにお前のことどう思ってるかどうか聞いてやるって」
「……いいよ…アークには言えないもん…」
「なんで」
「なんでも!あたしの話はいいから!アークこそ好きな人いないの?」
「な!俺は別にいいだろ!俺は!!」


アークは突然自分に話題がふられ大慌てする。


「いいじゃん!いるの?いないの?」
「だぁーわかったよ。言えばいいんだろ!いるよ!いますよ!!
「え…」
「なんだよ。その顔は」
「え…いや…別に…そっか…アーク好きな子いるんだ」
「俺もお前のこと言えねーけどそいつと全然進展ねーんだよな。鈍過ぎて」
「鈍いんだーその子…あたしの好きな人も鈍いのよ、かなり…お互い報われないね」
「本当にな」
「だったらアークが少し積極的になれば?寄り添ってみたりとか!きっとその子もドキってするよ」
「なるほどな。じゃ、早速試してみるか」


アークはに寄り添える。


「アー…ク…?」
「ドキッとした?」


突然の行動には顔を真っ赤にしアークから視線を逸らす。


「な、なにしてんの!ちゃ、ちゃんと相手の子にしてあげなよ!」
「だからお前にしてんだろ」
「え?」
「どこまで鈍いんだよ。お前…」
「え?だって…アーク好きな子いるって…」
「だから俺が好きなのはだよ」
「…アーク…!」
「で、の好きな奴って誰?俺も言ったんだ。お前も答えろよ」
「…アーク…」
「なんて?小さくて聞こえねー」
アーク!!


は顔を真っ赤にしながらアークの名前を叫ぶ。


「俺…?」


流石のアークもの発言に驚きが隠せなかった。


「冗談とかじゃなくマジで?」
「アークこそ本当なの…?」
「俺は本気だ。は?」


は小さく頷く。


「なんだ。俺たちってとっくに両思いじゃん」
「…お互い…鈍いね…」
「本当にな。はぁー嬉しいと同時にドッと疲れた」
「だったらいつでも寄り添っていいよ…疲れた時でも疲れてない時も…2人で寄り添ってお互いの距離を縮めよ…すれ違わないように…」
「…そうだな…」


そして2人、寄り添いあい互いの距離を縮めてゆく…



*オマケ*

「ねぇ、結局今日は何の仕事だったの?」
「…誰かがシリウスの逆鱗に触れたせいで騎士院の騎士全員女装して街で買い物をして来いって…」
「………アーク…今日の仕事サボったこと褒めてあげる」
「だろ…あのリュートすら逃げたんだ…俺が行くわけねーだろ…」