本当の気持ち







「では、葵姉(あおいねえ)。お気をつけて」
「わかっておる。リュートも一緒じゃ。安心せい」
「葵さんのことなら僕が無事に連れて帰るから」
「頼もしいな。やはりリュートに任せて正解じゃ」
「アハハ。そこまで言われるとプレッシャーを感じちゃうなー」
「それでは困る!葵姉はだな…!」
「これこれ。私とてそこまでか弱くはない。では、リュート。出かけるぞ」
「うん。じゃ、行こうか」

葵とリュートが出発しようとしたところリュートがを呼び止めた。

「あ、さん」
「なんじゃ?」
「今日はこの騎士院にいるのはさんとアークだけだから」
「なぜじゃ?」
「今日はどの騎士も稽古で遠出だとか仕事だとかで色々と忙しいからね」
「そういえば…アークの奴、風邪をひいておったぞ。、あやつの看病は任せたぞ」
ブッ!!な、何を言ってるのじゃ!葵姉!!」

は葵の言葉に顔を真っ赤にして大慌てしている。

「あ、でもアークのことだし…しんどくてもどこか出かけそうだから出来れば看病してほしいな」
「…………」
「では、頼んだぞ。
「わ、わかった…すればよいのであろう!!」
「アハハ。さんって本当にアークのことになるとムキになるね」

リュートと葵はクスクスと笑っている。

〜〜〜〜〜っ!さっさと行かぬかーーー!!!
「ハイハイ。それじゃいってきます」
「ハハハ。しっかりアークの看病をするのじゃぞ」

は二人をグイグイと押し出す。

「ふぅ…致し方ない。看病してやるか…」








コンコン。

「アーク。じゃ。」

コンコン。

「アーク。居るのであろう」

ガチャ。扉が開いたと同時に

バンッ!!!

鈍い音が響き渡る。

「なんだ?って!!!」
「…………」

はアークの開けた扉で顔面を強く打ったのだ。

「…大丈夫か…?」

アークは顔を押さえているを心配そうに覗き込む。

……だ、大丈夫じゃ…このくらい…どうってこと…っ!!
「涙目になってんぞ」
「当たり前じゃ!!痛かったのだから!!」
「やっぱ痛かったんじゃねーか…」
「うっ!」
「はぁ…仕方ねー。入れよ。顔腫れる前に冷やしてやるから」

コクコクっとは顔を押さえながら部屋に入る。




「ほれ。氷で顔冷やせ」

水と氷の入った袋をに渡す。

「ふ、不覚じゃ…このようなことでは…葵姉を守れるか…」

は顔を冷やしながら言う。

「なんでそうなるんだよ。そもそもさっきのは俺が悪かったろ?」
「それもそうじゃが…」
「で、なんか用?」
「そうじゃ!私がお主に看病されてどうするのじゃ!アーク!お主、体の調子はどうじゃ!?」
「あ?別にいつも通りでピンピンしてるって]
「…それならよいが…一応、額を触るぞ」
い、いいって!
「遠慮することはない」
わ!ば、バカ!やめ!!
「往生際が悪いぞ。すぐに済む」

スッとはアークの額に触れる。

馬鹿者!お主、熱があるではないか!ほれ!さっさと寝んか!」
「だーかーら!大丈夫だって言ってるだろって!!」

はアークを布団へと押し倒す。

「…………」
「まったく世話が焼けるのう」
「あのさ…」
「なんじゃ。さっさと寝んか」
「この体勢…どうよ」
「は?」

今の二人の体勢はがアークを押し倒している状態だ。

「………(思考回路停止中)っ!!す、すまない!!!
「別に俺はこれでもいいけどな」
「お主という奴は…!」

バシッ!!!

はベットの上から降りてアークの額を叩く

「何を言っておるのじゃ…!」
「ってて…本音に決まってんだろ?」
「お主はどこまでが本当かわからん。まったくからかうのも大概にせい」
「だーかーらー全部本音だっつてんだろ?」
「は?」
「どこまで姉妹揃って鈍いんだ?お前等…」
ま、待て!お、落ち着け!
「お前が落ち着けよ!」
う、うるさい!わた、私は落ち着いておる!

は言葉とは裏腹にパニック状態なのが手に取ってわかる。

「あーひとまず深呼吸だ!1・2の3の!
「スーハァー…」

は深呼吸をして咳払いをして話を進める。

「ほ、本当なのか…?アーク…」
「だから本当だっつてんだろ?で、お前はどうなんだよ。俺のこと好きか?」

ストレートに聞いてくるアークに対しは顔を真っ赤にしながら俯きながら頷く。
その姿を見てアークは笑顔になる。

「じゃ、今日はお前のためにも寝てさっさと回復してやるよ」
「…なんじゃ、偉そうに…」
「別にいいじゃねーか。治ったらどっか出かけようぜ。二人でな。
「…そうじゃな…」


二人はほほ笑み合いながら約束を交わす。